エドワード様式について

わずか10年間ほどの統治 エドワーディアン様式
ヴィクトリア女王の次に王位についたエドワード7世の時代、1901年から1915年頃の流行家具の様式を指します。 エドワ―ド7世はヴィクトリア女王の長男です。ヴィクトリア女王の跡を継ぎ、1901年に英国国王として即位しました。 彼の統治期間は約10年ほど!ほかの王たちに比べ短く感じますが、母・ヴィクトリア女王の統治期間が65年という 非常に長い期間に渡ったため、国王に即位したとき彼はもうすでに59歳でした。それゆえ必然的に在位期間も短くなっています。
新しい世紀が始まった1901年、ヨーロッパは第一次世界大戦までの限られた自由と繁栄を謳歌していました。 フランスで言うところの「ベル・エポック」(良い時代)です。
国王としてのヴィクトリアとエドワード7世が対照的なように、ヴィクトリアンとエドワーディアンの世相も対照的です。 ヴィクトリアが謹厳重厚なら、エドワーディアンは新しく始まったばかりの世紀を反映した、自由なものでした。 ただ、工芸品に関する時代様式としてはあまり特徴はありません。

《先端に向かって細くなるデザインの"テーパードレッグ"》
ヴィクトリアンもエドワーディアンも、基本的には過去の様式のリバイバルが主でした。 ヴィクトリアンは曲線的で華やかなデザインが多く、対照的にエドワーディアンは直線的でシンメトリーなデザインのものが多くなっています。 加えて当時の住宅環境に合わせた小ぶりなものが多く作られました。 この小ぶりなものが、現代の日本のお家にもぴったりで使いやすい大きさが人気です。
現在でも人気の高いクィーン・アンやチッペンデールスタイルの様式を模した工業生産品としての家具も多く出回りました。 現在、市場で入手できる一般的なアンティーク家具のほとんどは、この時代に作られたものです。