東京・高円寺に工房を構える陶芸家、本島幸雄氏による作品です。本島氏は1931年生まれ。日本大学理工学部で工業化学を専攻し、その知見を陶芸の世界へと注ぎ込んだ異色の経歴を持ちます。
一点一点異なる個性が宿る粉引きの表情。温かみのある白の奥に微かにのぞく土の色や、時折現れる鉄粉の斑点が可愛らしい。側面を縁取るしのぎの彫りは、柔らかな白に端正な影を落とし、食卓に心地よいリズムを刻みます。
理工学部出身の本島氏ならではの緻密な計算に基づいた設計は、蕎麦やうどんの瑞々しさを引き立てるだけでなく、陶器特有の微細な凹凸が熱をやわらかく遮断するため、手に持った時の温度も優しく伝わります。現在、オンラインでこの作家の息遣いに直接触れられるのは、MALTOのみとなります。
作家の手によって一つひとつ丁寧に焼き上げられた器には、工業製品にはない「ゆらぎ」があります。使い込むほどに生活に馴染み、育っていくこのどんぶりとともに、自分を整える静かな時間をお楽しみください。