アンティークショップ直伝!手軽できるコーディネート術
アンティーク・ヴィンテージの雰囲気溢れる、魅力的なお部屋を、より簡単に、お手軽に作るコーディネートのポイントをいくつかご紹介。
ベル・エポック期のパリで流行した美術様式「アール・ヌーヴォー」。
その様式の特徴は、植物などの有機的なモチーフに由来し、曲線を多く用いる優美な装飾性にあります。 19世紀末から20世紀初頭にかけて広くヨーロッパで流行しましたが、その誕生に影響を与えたのは、遠く離れた日本の美術でした。
ベル・エポック。それはフランス語で、「良き時代/美しき時代」という意味を持って呼ばれます。
普仏戦争(1870年~1871年にフランスとプロイセン王国の間で行われた戦争)にフランスが敗れてから第一次世界大戦が勃発するまでの間、フランスでは産業革命が進み、消費文化が栄えることとなります。
わずか25年ほどのこの戦争のない華やかな時代や文化のことを表す言葉です。
当時、「花の都」として栄えたパリは、同時に「芸術の都」でもあります。
19世紀末~20世紀初頭にかけて、フランスのベル・エポックの象徴でもある装飾美術「アール・ヌーヴォー」が、芸術界を席巻しました。
アール・ヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてフランス、ベルギーを中心にヨーロッパで起こった芸術運動です。
フランス語で「新しい(Nouveau)芸術(Art)」を意味します。
何が新しかったのかというと、アールヌーヴォー以前は、工芸は美術よりも劣ると考えられていましたが、それを否定し、建築物、家具、食器などの工芸品、さらには商業用ポスターなどのグラフィックデザインを「芸術」にまで高めました。
また、新しい素材であるガラスや鉄を多用したことも当時の人々には斬新でした。
アール・ヌーヴォーという総合芸術により、芸術家たちは自然と調和した「新しいライフスタイル」を目指しました。
建築や家具、ガラスや陶磁器、広告に至るまで多大な影響を及ぼしています。
アール・ヌーヴォーに影響を与えたのは、19世紀後半のイギリスに起こったアーツ・アンド・クラフツ運動でした。当時、産業革命によって大量生産の安価で質の低い製品が出回っていました。
この運動はウィリアム・モリスが中心となって進め、産業革命による工業化を批判し、職人の技や中世の芸術を通じて生活の美化を推進しました。
民衆の生活に溶け込むアーツ・アンド・クラフツ運動の思想が、ベルギーやフランスで、鉄やガラス中心とした新しい素材を使いながら社会や生活に芸術性を取り戻そうという動きにつながり、アールヌーボーに結実したのです。
・アルフォンス・ミュシャ
・ルネ・ラリック
・エミール・ガレ
・エクトール・ギマール
・アントニ・ガウディ
アール・ヌーヴォーの特徴は、自然な曲線や曲面を用いることで装飾的に表現されていることです。
また、花、草、蔦、昆虫など、有機物をモチーフにしていることが多く、階段の手すりや木製家具の形態としてそうしたモチーフが取り入れられたり、さらには壁に描かれることもありました。
そのようなモチーフは、さらに抽象的な形態に簡略化され、自然を想起させるような自由な曲線によるデザインになることもありました。
当店のアンティークから、アール・ヌーヴォー様式の特徴がぎゅっと詰まったアイテム。金属製のバックルです。アール・ヌーヴォー特有のたるみのあるツタ、植物の葉、昆虫のモチーフがちりばめられています。
また、アール・ヌーヴォーの美しい装飾的な表現は、当時流行していたジャポニスムの影響を強く受けていると言われています。
アール・ヌーヴォーの絵画、建築、家具、ジュエリーなどのあらゆるデザインは、浮世絵に見られるようなアシンメトリーのレイアウト、花や植物、昆虫など自然をモチーフにしたゆるやかで曲線的な形状や構造など、華やかさが特徴です。
葛飾北斎の「北斎漫画」より、挿絵をそのまま模写した作品。アールヌーヴォーの巨匠エミール・ガレによる花器「鯉」。
ガレはジャポニスムに生涯虜になっていたそうで、特にトンボのモチーフを多用しました。ヨーロッパにおいてトンボは「魔女の針」などとも呼ばれたり、悪魔の昆虫として不吉な虫と考えられていましたが、ガレやルネ・ラリックがそのイメージをがらりと変えました。
アール・ヌーヴォーとよく似た響きの「アール・デコ」。どっちがどっちかわからなくなる方もいるのではないでしょうか。 時代こそ近いですが、名前が似ているだけでアール・ヌーヴォーとアール・デコは全く違うんです。
アール・ヌーヴォーは19世紀末から20世紀初頭にかけてのベル・エポック期。戦争のなかったわずかな期間、生命力を感じる豊かな表現の装飾が沢山生まれました。
それまでになかったモチーフ使いや商業的な媒体、建造物にまで美術的価値を見出し、「新しい芸術」と呼ばれました。
そんな中、フランス、ドイツを中心とした地域で、第一次世界大戦(1914年〜1918年)が始まります。戦争が始まると、装飾が過剰でお金のかかるアール・ヌーヴォーのようなデザインは現実的ではなくなります。
そこで新たに誕生したのが"装飾美術"の意味合いを持つ「アール・デコ」。直訳からするとイメージが全く真逆にも感じるのですが、2つの特徴を並べてみると、デザインから機能性に至るまでびっくりするほど真逆です。
直線的、幾何学模様などモダンなデザインが光るアール・デコ、あまりパリっぽくない・・・と思いませんか?それもそのはず、パリではあまり流行ることはありませんでした。
しかしこれが1920年代のアメリカで大流行!クライスラービルなど、アール・デコを象徴するビルが数多く誕生しました。
この時期は、第一次世界大戦が終わり第二次世界大戦がはじまるまでの数年間となり、世界の中心がヨーロッパからアメリカへと移り変わっていった時代でもあります。
こうして、芸術だけでなく音楽や娯楽の分野でもアメリカとヨーロッパがお互いの文化を吸収し合うことで急激にその距離が縮めていった時代でもありました。
Barbotine -バルボディーヌ-
アールヌーボー(Art Nouveau 1890-1910年頃) の頃以降、特にフランスでは経済的に大変豊かな(産業革命や植民地支配による)時代が続いておりました。
特にフランスの1900年前後はベルエポック(良き時代) と言われ、「退廃的」とか「享楽」とか後の時代に表現されるほど人々は我が人生を謳歌していたのです。
そのような時代背景もあって、鮮やかな色彩で、凸凹、装飾過多なバルボティーヌがリバイバルしました。